POTSUNEN ソロパフォーマンス

ポツネンシリーズの中で、私が生の舞台を拝めた唯一の作品。
2015年版は映像販売されたのに、2017年版は映像販売、動画アップのいずれも行われなかった。 ロンドンの劇場のサイトに動画がアップされると聞いた時には「2017年版では?」とかなり期待したのだけれど、 アップされたのは2015年版。何か大人の事情があるのかもしれない。


“ Mr Potsunen's Peculiar Slice of Life ” PR Movie
※2017年、海外公演を前にアップされた「ポツネン氏の奇妙で平凡な日々」のPR動画


2017年版は、ロンドンの劇場「CORONET PRINTROOM」を想定して手直しされたのだろうか。 サイズ的にはとてもコンパクトに、そしてビジュアル的にはとてもカラフルに進化していた。

内容面でもとても素敵にブラッシュアップされている部分が多々あった。 特に、Amazonで購入の新しい道具「カメラ」と仲良くなっていく過程を描いたシーンや、 クライマックスあたりのシーンなどは、本当に本当に素晴らしかった。
逆に変更前の方がしっくり来たシーンもある。「白い丸」が安心して腕の中で眠るシーンとか「人生が想像どおりに〜」の変更とか。 これはあくまでも想像だけれど、私がこのタイミングで日本で生まれ育ったから「人生が想像どおりに〜」の あのフレーズがものすごく響くのかもしれない。


カーテンコールでは「日本文化を学ぶロンドンの女学生達とディスカッションした思い出」を話してくれた賢太郎さん。 これは2015年の全国ツアーのカーテンコールでも話した内容だとは思うけど、2017年版の海外公演を前にもう一度話してくれたのが嬉しかった。

ある日、賢太郎さんは夢を見た。
「蝉が育ってフクロウになり、そのフクロウが賢太郎さんを見てにっこり笑った」という夢。
この夢が元となり「ポツネン氏の奇妙で平凡な日々」が生まれたのだという。

講演依頼を受けた賢太郎さんは、日本文化を学ぶロンドンの女学生達に「作品の元となった夢の話」をしたそうだ。 ところが反応がとても薄い。訳をたずねてみると「ロンドンには蝉がいない」のでイメージできなかったのだそうだ。 日本文化を専門に学んでいる人であっても「蝉」を知っている訳ではない。おそらく「蝉しぐれ」なんて想像もつかないのだろう。
国が違えば、ほんのちょっとのニュアンスから違って当たり前。思想・文化・環境・常識・・・。

「Potsunen」シリーズでは特に、国籍に関わりなく「人間が」楽しめる作品を目指しているという賢太郎さん。 カーテンコールでは、2015年のパリ・ロンドン公演が「ウケた」ので2017年、また呼んで貰えた的なことも話してくれたのだけれど、 本来の武器でもある「日本語」が通じない異国のステージで「ポツネン氏の奇妙で平凡な日々」は「人間が楽しめる作品」として 観客から拍手喝采で迎えられた。その事実に、今もなお胸が熱くなる。


■出演・脚本・演出・美術:小林賢太郎

【東京公演】
■日程:2017/06/16~06/21
■開演:14時=06/17・06/18・06/21、19時=06/16・06/17・06/19・06/20
■会場:あうるすぽっと
■料金:前売6,000円・当日6,500円(全席指定・税込)

【パリ公演】
■日程:2017/06/29~07/01
■会場:パリ日本文化会館
■住所:101 bis, quai Branly 75740 Paris Cedex 15, France

【ロンドン公演】
■日程:2017/07/05~07/08
■会場:CORONET PRINTROOM
■住所:103 Notting Hill Gate, London W11 3LB

▶︎ ORONET PRINTROOM アーカイブ




人生が想像どおりになるほど人間の想像力は豊かではない ▶︎




2022/12/01

ポツネン○ -maru-Dropポツネン氏の庭SPOTTHE SPOTPP+ポツネン氏の奇妙で平凡な日々ポツネン氏の奇妙で平凡な日々 2017