『丸の人』のこと

Potsunen『 ○ ~maru~ 』 丸の人


強烈に好きな作品『丸の人』。初めて観た時は、涙が溢れて止まらなかった。

道がどんなに険しくとも「夢を実現できた」人達の目に『丸の人』はどう映るんだろうと時々思う。 そもそも順風満帆なまま一生を終える人ってどのくらいいるんだろう。 好きで好きで仕方ないことを生業にしている人達は、まだそうではない私とは違った感情を抱くのではないか。
この作品が持つ意味や世界観は、作品と出会うタイミングやそのシチュエーションによって、大きく違ってくるのかもしれない。

いろんな受け取り方ができるそのラストシーンは、ビジュアル的にもとても美しい。 そこに流れる曲「The Last of "maru"」がまた最高! ずっと聞き続けたくて、私は頻繁にこの曲をループする。 賢太郎さんと徳澤青弦氏の出会いには、感謝せずにはいられない。「うるう」しかり、「きよぶき」しかり・・・。


夜中の公園。ひとり暗闇の中、降り積もる雪に徐々に埋もれていく『丸の人』。
彼自身が絶望で「死」を迎えたようにさえ見えるラストシーン。 彼の夢はその日「永遠の眠り」についた…という表現だと私は感じた。何かを諦めることでしか手に入らないものもある。

今はどんなに辛くても、夜明けと共に朝は来る。雪降り積もる真冬を越えれば草木が芽生える春が来る。人生もそんな変化の連続だ。 とことんまでやり切ったんだからとついに手放した「向いててぇ」それは、いつしか「経験」という彼だけの強さに変わり、 ゆっくりと長い時をかけ喪失感をも飲み込んでいく。だから今は、どうぞゆっくり休んでください。


そう思ってた。ずっとそう思ってた。
でも賢太郎さんのある一言でこの作品へのイメージはガラッと変わることになる。

賢太郎さんは『丸の人』について語ったわけではない。「挫折を感じた時どうするか」的な質問に対して自分の話をしただけだ。 「僕、上手く行くまでやめないんですよ。しつこいんですかね?」と。

これを聞いた瞬間、深々と、それこそ2メートル近く降り積もった雪の下から、ガバッと勢いよく飛び出してくる『丸の人』が見えた! 気がした。とても嬉しかった。





2022/12/01

ポツネン○ -maru-Dropポツネン氏の庭SPOTTHE SPOTPP+ポツネン氏の奇妙で平凡な日々ポツネン氏の奇妙で平凡な日々 2017