「うるう」にまつわるあれこれ

小林賢太郎プロデュース公演「KKP」はその名の通り、賢太郎さんが脚本・演出・出演の他、プロデュースも行う演劇公演。 7作目の「ロールシャッハ」以降は「小林賢太郎 演劇作品」と表記されている。

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《関連》
▶︎ うるうのもり
▶︎ staff notes 11.12.21 [WED] アーカイブ
▶︎ message アーカイブ


「うるう」のエピソードの中でもとりわけ好きなのが、2011年12月21日の「staff notes」の話。
初演の支度中の楽屋から、賢太郎さんの祈るようなつぶやきが聞こえてきたのだという。

「みんなこの作品を好きになってくれるかなぁ。なってくれるといいなぁ」


この一言で私は、賢太郎さんと「うるう」に更に夢中になった。
作品ごと抱きしめたくなった。

初日終演後、どれほど嬉しかっただろう。ホッとしたことだろう。 世に出すからには自信も確信もあったハズだとはいえ「稀代の天才」でさえも、こんな風に感じるのかと親近感さえ覚えた。

私は初演もその初日も知らないけれど、終演後は嵐のような拍手喝采で、観客自身も痺れるような感動に酔いしれたに違いない、 カーテンコールで客席を見渡す賢太郎さんも満面の笑顔だったに違いない。そんな想像を膨らませながら、その言葉を噛み締めた。



2020年版で初めて「うるう」を体験し、寝ても覚めても「うるう」のことしか考えられないほど夢中になった私は、そこから初めて過去の記録を掘り起こし始めた。 まっさらな状態で「うるう」を体感したかったこともあり、2020年1月17日・広島初日までは可能な限り情報を入れずに過ごしてきたからだ。

いざ、2020年版の「うるう」を知ってみると、当然のように過去の上演分についてもできる限り多くのことを知りたくて仕方なくなった。 衣装・舞台美術・照明・セリフ・・・全く同じではないのはわかっている。 観劇後に直接話した人の中では、圧倒的に「2020年版、完璧!最高!」と言う人がほとんどだったけれど、 中には「初演が一番好き」とか「2016年版が一番好き」という人達もいた。当然、興味が湧く。


過去を掘り起こす中で出会ったのが上記の「staff notes」であり、賢太郎さんからの「message」。「message」については ピンポイントでは該当ページが表示されないので、2012年3月1日まで少しスクロールすると、以下の文章を読むことができる。

『うるう』大阪、千秋楽
『うるう』への思い

今もなお過去のデータを閲覧できるアーカイブの存在は本当にありがたい。

そして賢太郎さんにしろ、スタッフの方々にしろ、こんな風に文章を残してくれたことに今更ながら 感謝の気持ちでいっぱいだ。「作品が全て」とはよく言われることだし正論だとも思うけど、それだけではどうしてもたどり着けない世界もある。 上記二つの記事を読んだことで生まれた感情は、これらの記事に出会えたからこそ生まれたモノで、私にはかけがえのない大切な宝物だ。


賢太郎さんの2012年3月1日の「message」には、宮沢賢治氏から得た「道しるべ」について書かれているのだけれど、 私は今まさに「賢太郎さんからの道しるべ」を受け取っている。

スイッチインタビューの時に林檎さんが「今の学生の間では『ラーメンズはクラッシック』という位置付けらしくカッコいいと思う」的 なことを仰っていたのだけれど、それに通ずるものがあるようにも思う。 賢太郎さんが宮沢賢治氏の足跡をたどったように、私も今、賢太郎さんの背中を見つめ、追い、自問自答しながら前へ進もうとしている。

「これが自分」

そう言える作品を生み出せる世界に、いつかたどり着きたい。





2023/01/03更新

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