カジャラ

兎にも角にも冒頭のコント「タイムカード」に痺れまくった第三弾。役者さんって凄い!と改めて感動したコントだった。 そしてこの公演、賢太郎さんのツーブロック姿に痺れまくった人も続出したに違いない!だって、強烈にカッコ良かったもの(個人の感想です)。

ちょっぴり不安そうな「エルガゼスタ星人」が可愛くて仕方なくってキュンキュンきた。

「シリコンバレー」の空気感がとても好き。特に野間口さん最高!

「就職フェアリー」と「オマール海老」はとにかく笑った。息ができないくらいに笑った。

「一握の砂」は、胸がキューっとなった。

どれもこれも面白かった。カジャラ#3「働けど働けど」のトータルバランスが私はとても好きだ。


また長い間「黒子」を務められた南大介さんがスタジオコンテナを卒業(独立後、役者・イラストレーターとして活躍中)。 それに伴い黒子オーディションが開催された。以降、匁山剛志さん(#3:働けど働けど)、山下征志さん(#4:怪獣たちの宴)がそれぞれ黒子役を務めている。


■出演:野間口徹/竹井亮介/小林健一/辻本耕志/小林賢太郎

■演目:タイムカード/グリーングリーン/シリコンバレー/透明人間ズ/就職フェアリー/エルガゼスタ星人/シャレにならない親分/一握の砂/オマール海老/倉田は働く


横浜公演 2018/02/28〜03/11 KAAT 神奈川芸術劇場
群馬公演 2018/03/17〜03/18 境総合文化センター
大阪公演 2018/03/21〜03/28 サンケイホールブリーゼ
豊橋公演 2018/03/31〜04/01 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
東京公演 2018/04/11〜04/22 プレイハウス
静岡公演 2018/04/25〜04/26 グランシップ中ホール





以前『アレとの遭遇』と言うタイトルで、こんな文章を書いたことがある。



あれは横浜でのこと。初めてカジャラ#4を見た時、面白くて、笑い過ぎで涙が止まらなくて、感激して、ただただ圧倒された。 心地良い余韻に自然と顔がほころぶ。そのくせ何かがずっと頭の隅っこに引っかかっていた。引っかかりの正体は帰宅後にカジャラ#3のDVDを見て気づくことになる。

それは丁度「一握の砂」を見ていた時のこと。
『壊されないなら自分で壊せ』の台詞でブワッと鳥肌が立った。

カジャラ#3までの3年間で、私の中で勝手に膨れ上がった「カジャラとは〜」という固定概念。
#1も#2もそれぞれに面白くて大好きだけど#3は正にドストライク。「完璧だ!これがカジャラの完成形なんだ!」と勝手に盛り上がっていた。 #4に違和感を感じたのは他でもない「私の中で出来上がっていたカジャラのイメージ」をはるかに超えて来たからだ。

ポスター然り、人数然り、極限まで自由度の高いライブ感然り・・・まさに新しい風が吹き荒れたカジャラ#4。 初見の私には新し過ぎたのだろう。感覚ではその変化をすんなりと受け入れているのに、思考の方がビックリしたらしい。 それに気づいた時、砂のお城を壊す賢太郎さんの動きと共に私の勝手なイメージも粉々に崩れ去った。固定概念ってある意味、怪獣(モンスター)だと思う。

何かを大好きになったり、大切に思うことはとても素敵だ。けれどそのせいで変化を受け付けられなくなったり、 目の前の作品を楽しめなくなってしまってはあまりに勿体無い。自分の「好み」だと思っていたものが実は「固定概念/怪獣」かもしれないって、ちょっと怖いかも。


そんな#4も、横浜から最終公演の豊橋へ至る間に随分と進化を遂げていた。 いつのどのステージが正解だったかなんて永遠にわからないけど、公演ごとに都度試行錯誤を繰り返し、ブラッシュアップし、 客席からの笑いというパワーを栄養に、カジャラ#4がとてつもなく大きな『アレ』に成長したのは紛れもない事実だと思う。

壊して踏み固めた頑丈な土台の上には今は「怪獣たちの宴」が君臨しているけれど、いずれはこれも壊されて、新しい作品を育む頼もしい土台になるんだろうな。



あああああ・・・。

この時はまだ何も知らなかったから「新しい作品を育む頼もしい土台に〜」なんて呑気に カジャラ#5に思いを馳せつつ、毎日ワクワクしてたよなぁ。でもタイミング的に見ると、カジャラ#3の時には既に 賢太郎さんはパフォーマー引退に向けて走り出していた訳で・・・。そういう意味でも、作品的にも改めて「一握の砂」がズシリと重い。

人生が想像どおりになるほど 人間の想像力は豊かではない。
本当にその通りですね、賢太郎さん。

ステージに立つ賢太郎さんが本当に本当に大好きだったので、賢太郎さんがパフォーマーだった過去を取り戻したいと願ってしまうことが今でもあるけど、 これまで積み上げて来たものを全て壊してでも進みたい未来があるって、とても素敵だし羨ましくさえある。 自分がやりたいこと、なりたいものがわかってるって、その時点でめちゃくちゃカッコいい。


公式サイト『小林賢太郎のしごと』がリニューアルされた日のこともよく覚えている。2020年12月27日だったと思う。 慣れ親しんだサイトのリニューアル。メッセージ「小林賢太郎より」も消え、さみしくなかったと言えば嘘になる。 それでも驚くほどシンプルに変貌を遂げた「その潔さ」が、なんだかとてもカッコ良く見えた。 私には「パフォーマー小林賢太郎がいない世界線」はあまりに辛い現実だけど、不思議とそれを上回る「何か」が待っているようなそんなワクワク感を覚えた。

そして新しくなった公式サイトを前に「賢太郎さんが次に見せてくれるのはどんな未来だろう」と、次回作を心待ちにしている自分に少しだけホッとした。




2022/12/01

大人たるもの裸の王様働けど働けど怪獣たちの宴無関心の旅人カジャラジオ