カジャラ

「コントマンシップ」という言葉を冠に頂くカジャラ#1「大人たるもの」。 順風満帆で船出したこのプロジェクトは、賢太郎さんが何年もかけて準備をし、熟考を重ね、 コントを続けて行くためにたどり着いた場所。そこで披露されるのは「最上級のコント」たち。 コント師として、経験してきた全てを「カジャラ」に返す、そんな思いがぎっしりと詰まっている。

また当時、賢太郎さんは出演者のことを「コントアクター」と呼んでいた。


■出演:片桐仁/竹井亮介/安井順平/辻本耕志/小林賢太郎

■演目:ならんだ大人たち/しあわせ保険バランス/味なやつら/頭蓋骨/オカルト先生/もんしん/BSのドラマみたいな男たち/野生のヤブ医者/カドマツ君/山小屋における同ポジ多重コント/第二成人式


東京公演 2016/07/27〜07/31 東京グローブ座
大阪公演 2016/08/03〜08/14 サンケイホールブリーゼ
横浜公演 2016/08/17〜08/28 神奈川芸術劇場ホール
豊橋公演 2016/09/09〜09/11 穂の国とよはし芸術劇場PLAT


《イチ推し♪》
緻密に計算し尽くされ練りあげられた完璧な空間。 全細胞を集中させずにはいられない張り詰めた緊張感と、ふと訪れる緩和。「爆笑だけが面白いじゃない」を地で行く「面白い」がここにある。
もしも願いが叶うなら、このコントを作っている最中の賢太郎さんの頭の中を覗いてみたい。

カジャラ#1:大人たるもの 山小屋における同ポジ多重コント






大盛り上がりの旗揚げ公演。この時はまだ公演数も公演場所も少なかった。 TOWERのあの規模の全国ツアーの公演回数を期待していたので、その少なさに正直驚いた。 演者のスケジュールによる日程の都合なのか、新しいプロジェクトは「未知数」だからと主要都市のみに絞って様子を見たのか。
結局私はチケットが取れなかった。

賢太郎さんが新しいことを始めることそのものにワクワクしていたのは勿論だけど、 ラーメンズの生の舞台を知らずに育った私にとって、二人の共演は次いつ巡って来るかわからない貴重なチャンスだった。 チケット争奪戦に敗れた私は床に倒れ込むほど凹んだ。
数年後、あれがラストチャンスだったのだと知った瞬間、床にめり込むほど凹んだ。

もしかしたら私が「美大じじい」に執着してしまうのは「大人たるもの」を劇場で観ることができなかったことも要因のひとつなのかもしれない。 「大人たるもの」と「ラーメンズ本公演」を同列で語ることこそどちらに対しても失礼なのだけれど、ラーメンズ第18回公演は私の悲願だったから。

ラーメンズを劇場で観ていない。

それはいつまでもついてまわる人生最大の後悔。
けれど、いつかはこの思いを成仏させなくてはと思っている。但し、無理せず、ゆっくり、ね。

もうね、日々できることと言えばあれですよ。イマジネーション。
そこは想像力を上回る「妄想力」で補うしかない。本公演の会場内にいる自分をイメージしてみる。ほら、見えるよ〜、 並んで立っている二人が・・・って、このアプローチでいいんだろうか。


そんなこんなで行けなかったカジャラ第一回公演「大人たるもの」は、DVD・YouTube、どちらで観ても、実はとても面白い。 なのに「それでいいじゃん」って簡単に割り切れないところが、私という人間の器なのだろう。




コントについての感想も少しだけ。

「野生のヤブ医者」「カドマツ君」「山小屋における同ポジ多重コント」この3連続は最強だ。

■ 野生のヤブ医者 ■
その究極の馬鹿馬鹿しさがたまらない。どんだけ笑った? 賢太郎さんに翻弄され続ける4人の様子もなかなかに新鮮。これを大真面目にやっているからこそ面白いんだろうなあ。

■ カドマツ君 ■
各々のキャラが立ちまくりなところも好き。竹井さんは爽やかでカッコいいし(キュン)、辻本さんは仕事さばけてて頼もしいし、 仁さんは狙い通りの「うわっ、こんなヤツいるわ」だし、安井さんは鳥肌立つほど役への寄せ方に凄みを感じたし、激ヤバだった。 4人を見ながら「役者さんってマジで凄い!」と、彼等の上手さに感動した。そしてお腹が捩れるくらいめちゃくちゃ笑って泣いた。
私の周囲限定だけど「気泡だよぉ、それ気泡だよぉ〜」は流行語大賞決定。

■ 山小屋における同ポジ多重コント ■
《イチ推し♪》にもあげたくらい、本当に感動したコント。
スイッチインタビューで「何日も寝る間も惜しんで 積み重ねて作ったスゴく複雑な作品も、昨日軽く考えてみたヤツなんだけどさ、ちょっと読んでみてくれる?って演者に渡す」みたいな話を賢太郎さんがした時に、ふと頭に浮かんだのがこの「山小屋における同ポジ多重コント」だった。
頑張ってる自分を見せたくないからと言っていたけど、あの時、賢太郎さんの頭に浮かんでいたのはどの公演のどの作品のことだったんだろう。相手は誰だったんだろう。今でも気になって仕方ない。

このコントは、制限のある中でもそれぞれが確実に個性を出さなければならないし、流れさえわかっていれば演じきれるタイプの作品でもない。 演じる側はかなり大変だったんじゃないかな。でも見る側はそれを含めてとても面白かった。見応えのある大好きな作品。

イケてない賢太郎さんが面白くって仕方ない。
要所要所で入ってくる仁さんの存在はやっぱり絶大。
安定の竹井さんと辻本さんに、二人が基礎を支えているからコントがひき締まるんだなと感じた。
そして「あのトリカワ君とアマチュア監督が同一人物・・・役者さんってマジで凄い!」と安井さんの役作りに感激。 因みに「あのイキウメの人はアクシャンだったの?!見てたよ私!」と別の発見でも感動した。





2022/12/01

大人たるもの裸の王様働けど働けど怪獣たちの宴無関心の旅人カジャラジオ