第16回公演:TEXT
本公演第16回
2007/02/21~04/01
カテゴリー:本公演
第16回公演:TEXT 2007/02/21~04/01(4都市・5ヶ所 51ステージ)
・東京公演 02/01(木)~02/10(土) 天王洲 銀河劇場 11公演
・神戸公演 02/21(水)~02/28(水) 新神戸オリエンタル劇場 9+1公演(追加含)
・福岡公演 03/02(金)~03/07(水) 西鉄ホール 7公演
・東京公演 03/13(火)~03/25(日) 東京グローブ座 15+2公演(追加含)
・札幌公演 03/28(水)~04/01(日) かでるホール 6公演
2007年5月18日(金)24:15~26:15 NHK BS-2劇場中継「ミッドナイトステージ館」で放送
■演目: 50 on 5/同音異義の交錯/不透明な会話/条例/スーパージョッキー/銀河鉄道の夜のような夜
「とんでもなく凄いモノを見てしまった!」
雷に撃たれたような衝撃。見終わってしばらくは放心状態が続いた。
まさに完璧!まさに究極!これこそラーメンズの完成形であり最高傑作!!
そんな言葉がよく似合う「第16回公演:TEXT」。心を鷲掴みにされ感動に打ち震えたあの日を、今も鮮明に思い出す。
しかも私が最初に観たのは、NHKの劇場中継を録画したVHSビデオの再生映像。
今でも時々想像する。もしこれを劇場で、生の舞台で体験できていたとしたら、私の感情はいったいどんなことになっていたのだろう。
世界観・構成・最大限に引き出された素材としての「日本語」の可能性。
そのどれもが魅力に溢れ「面白い」を存分に味わい尽くせる傑作の中の傑作。
《イチ推し♪》
効果音が言葉通り効果的に使われ、ふたつの世界を繋ぎまた切り離す。
照明と音は、限りなく透明に近い青く澄んだ空気を作り出す。気づけば私は、常盤と共に少し湿った夜風を感じている。
牛乳屋、なんで遠いんだろうね。多分それは・・・。不朽の名作だと思う。
第16回公演:TEXT 銀河鉄道の夜のような夜
日本語には、ひらがな・カタカナ・漢字の3つの表記がある。
その言葉が持つ音の響きだけでなく、視覚から得られる情報もイメージを大きく左右する。
漢字ばかりで書かれた文章は硬く難しい印象、ひらがなは柔らかさや可愛らしさ、カタカナはモダン且つお洒落。
漢字とカタカナのみで書かれた手紙は昭和初期のノスタルジックな空気をまとう。いわゆる「字面」がその世界観をイメージするのに一役買う訳だ。
表意文字の「漢字」はその文字自体に意味がある。一方、表音文字の「ひらがな・カタカナ」は、ひとつの単語にいくつもの意味を見出せる。
しかもこれらを組み合わせて使えるから自由度も高くなる。創作活動にはもってこいの柔軟で面白い言語だと思う。
そんな『日本語』がテーマとなる、第16回公演:TEXT。
ラーメンズの公演の中でも1、2位を争う大好きな作品だ。6つのコントから成るこの公演は構成もとても素晴らしい。
舞台は日本語のベースとなる「50音」の紹介のような作品「50 on 5」から始まり「日本語の仕組みの基本」が巧みに説明される。壮大な「TEXT公演」全体のための布石だ。
続く「同音異義の交錯」では日本語に更に踏み込む。日本語には「同じ音」で「異なる意味」を持つ言葉が多数存在することがテーマで、とても興味深い。
着想も素晴らしいし、その見せ方のセンスに感動する。
「不透明な会話」は「条例」への丁寧な前振り。この2つのコントはそれぞれ単独で見ても十二分に面白いけど2つセットで見るとその面白さは倍増する。
この「条例」は私の大好物。二人の個性がぶつかり合う上質のコント。かつてこんなに笑ったことがあっただろうか。まさに最強!キングオブキング!
笑い疲れた観賞後の心地よい疲労感がまたたまらない。
「スーパージョッキー」は空っぽになるまでただひたすら笑える、そんな感じ。
ここまでとは質の違う日本語の面白さが炸裂。日本語応用編。仁さんも最高だし「馬な賢太郎さん」がツボ。
最後を飾るのは珠玉の名作「銀河鉄道の夜のような夜」
美しい。とにかく美しい。
他のコント同様、公演テーマ日本語の面白さがふんだんに盛り込まれていて「よく似た漢字シリーズ」などで
笑いが巻き起こっていたけれど、そんな面白おかしいことをやっていてさえ、作品全体に流れる澄んだ美しさが際立っている。
賢太郎さんは「空気」を作り出すのがとても上手い人だ。
それはどの作品にも共通だけど、とりわけこのコントについては踏襲する「宮沢賢治の世界」と独特の「小林賢太郎ワールド」の融合から広がる世界がとんでもなくカッコいい。
切なさと美しさへの感動だけではない、正体のわからない「何か」に心がキューっとなる。
どんな時に人はひとりなのか。どんな状態がひとりなのか。ひとりとはどういうことなのか。
このコントを見て以来、これまで全く興味のなかった「しりとり」が好きになった。
TEXT公演は「銀河鉄道の夜のような夜」の空気感を残したまま終了する。
カーテンコールの2人に観客は『常盤』と『金村』の姿を重ねて見ていたのかもしれない。
常盤が列車の窓をあけ、どこまでも澄んだ星空を見上げた時の、頬に当たる「風」がとても好きだ。
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2022/12/16
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