教材用片桐と概論先生がいる世界

「現代片桐概論」

これを語らずしてラーメンズは語れない。
広くお茶の間に彼等の存在を知らしめた作品、と言っても過言ではないだろう。


仁さんによると「現代片桐概論」の初出しの時、賢太郎さんからは内容も聞かされず「何もしないでただ立っててくれたらいい」的なことを言われたとか。 この信頼感スゴくない? 私だったら演出意図とか作品の背景とか「絶対に微動だにしないでくれ」とか、事細かに語るよ。

賢太郎さんは何も知らない仁さんが自分がこれからステージで繰り出すネタの数々に、身体中の全細胞を総動員して食らい付いてくることも、 そこで起きるかもしれないハプニングも全て込みで「作品」としたかったのかもしれない。なんだかちょっと現代アートっぽい。

知らないが故に醸し出される面白さは本当の意味ではこの初回限定なのだけれど、それを経験することで次回以降は感覚の再現が可能になる。 仁さんは仁さんで「賢太郎がそう言うんだったら勝算があるんだろう」・・・みたいな。ま、私の想像でしかないけど。


私は2人のこういう関係性にキュンキュンきてしまう。相方への揺るぎない信頼感がダダ漏れな感じがたまらない。 KKTV8の「あ、王様だ」「うん」のやりとりなどはまさに「それ」な感じがして、大好きなシーンだ。 お互いが隣にいるのが当たり前みたいな空気感に、どうしてもキュンときてしまう。


教室に入ってきた概論先生が、黒板に板書されたものを消すところからコントは始まる。消し方あるあるが発動されて、それだけで学生時代に時間が戻る。 つづく黒板消しの粉を吸い取るマシン。あれ、すぐにいっぱいになって吸引悪くなるんだよね。窓開けて粉はたいてすぐに窓閉めないと 教室に入ってきちゃう描写なんてめっちゃリアル。そういった仕込みの丁寧さ、細やかさが生活感を醸し出すから「現実には存在しない生き物の生態」についての 講義にも違和感なくスッと入り込めるのだと思う。空間作りがとても巧みだ。


「現代片桐概論」には「零の箱式」に収録されたもの以外にもいくつかバージョンがある。 ハイスクール編、大学編のバリエーション。以前トップランナーで放送したものは大学編のブラッシュアップ版だった。 オンバト放送分も零の箱式収録分とは若干異なる。教材用片桐仁と概論先生のいる並行世界は、私が把握していないバージョンが他にもまだまだあるのかもしれない。

実のところこれら複数のバージョンは、私の中で絡んで混ざって馴染んでしまい、結果、高校教師版の概論先生が大学で講義をしている映像が頭の中で流れたり、 ニホンカタギリの学名が「ニッポニア=カタギリウス=パーマネント=ジンピテクス」だったのか「ニッポニア=カタギリウス=ジンピテクス」だったのか、わからなくなったりする。 それはもはや別の「現代片桐概論」だ。記憶の曖昧さが生み出す別の世界もある種のパラレルワールド。これはこれで面白い。

▶︎ 零の箱式 DVD




2022/12/01

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