「カキワリの劇場」へ入ってみた


絵本「カキワリの劇場」を読んで・・・。


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2023年

2023/02/01(水)


いやーーー、面白かった。

帯の「入っていいのかな。」にいざなわれ、絵本の表紙をめくった途端に劇場に吸い込まれた。
私は一生ここから出られないかもしれない。かなり困るけど。

出られないのには理由がある。これは「私のものがたり」でもあるからだ。
そう感じた人は、実はそんなに少なくないのでは?とも思っている。
私同様「自分探し」真っ最中の人達には、ことさら刺さる絵本なんじゃないのかな。


賢太郎さんの「絵」が纏う空気感もとても素敵で、グイグイ引き込まれた。
先日アップされたnoteの『絵本 『カキワリの劇場』 ができるまで』を 読むと更に各ページごとの「絵」そのものが愛おしくなる。というか「絵本」を抱きしめたくなる。
賢太郎さんはアナログの絵をMacに取り込んだ後、画像処理には何を使ってるのかなあ。やっぱりPhotoshop?いつかそんな話も聞かせて欲しい。

デザインはデザイナーの漆原悠一さんが担当されたとのことだけど、どの程度まで賢太郎さんの意向が反映しているんだろう。 お二人でどんな打ち合わせをしたのか、どんな提案があったのかなんてことにも興味津々。

デザイン面では、主人公と思しき人物のモノローグに使われている書体がまず目に飛び込んできた。 とても印象的な文字。「彼」だからこそ、この書体を使ったのだろうなとも感じた。 感情や思考をそのまま形(書体)が代弁しているようにも感じられた。 あれは何という名前の書体なんだろう。そんなことにも興味が湧いた。

色彩、紙質、テクスチャー、重厚感、厚み、手にした時のサイズ感など、書籍としての物理的な部分も想像以上に素敵。 一番びっくりしたのが帯。高級感があってとても素敵。これは多分、宣材画像などでは伝わりにくい部分だと思う。 いずれ電子書籍になるかもしれないけど、できれば現物を手にとって「本そのもの」も体感して欲しい。


手にしてまだ数日だけど、読む度に発見がある。「絵」からも「物語」からも。
この絵本、読み手によっても、読む時期や置かれた状況によっても印象はかなり異なりそうだ。

そんな絵本「カキワリの劇場」は、私にとっては「目を背けたい自分自身」と対峙せざるを得ない、 恐怖にも似た焦燥感を覚える「出口のない物語」だった。


「一生ここから出られないかもしれない」のか「一生ここから出たくない」のか。

今の私にはまだそれがわからないことも、実はとても面白い。





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